(旧)宝塚男子ピエールのポンコツ日記

宝塚歴14年ほどになるポンコツアラサー男子が、ゆるゆると宝塚についての話を中心に綴ってゆきたいと思います。

当ブログはお引越し致しました。
引っ越し先は最新記事をご参照くださいm(_ _)m

今日は、宝塚を見ていて感じる素朴な疑問を書いてみようと思います。

疑問の答えに辿り着くわけではないので、「そうそう、これ私も知りたかった!」というトーンで読み始めると最後まで結論が出なくて裏切られるのでご注意下さい。


宝塚をあまりよく知らない方から、「組によって何か違いってあるの?」「どの組の方がポジションが上とかってあるの?」といったことを聞かれることがあります。

組の間の優劣は基本的にないはずですが、もちろんその時その時で人気の高い組とそうでない組というのはあるかと思います。


では、組ごとの違いについてはどうなのでしょうか?

宝塚を見ていると、「ダンスの花組」「和物の雪組」といったワードを聞くことがあります。 

昔から花組はダンスの上手な方が多く、雪組は「忠臣蔵」などの和物の作品に強い、と。

一方で、今は必ずしもそんなことないのではないかと疑問に思うこともあります。

例えば、僕が宝塚を観始めた頃の花組のトップスターは春野寿美礼さんでしたが、春野さんは抜群の歌唱力が人気だったのに対し、ダンスに関してはあまり得意ではないという話を聞くことがありました。

決してダンスが下手という訳ではないと思うのですが、「ダンスの花組」と呼ぶほどにはダンスを売りにしている方ではなかったと思います。

むしろ、当時の雪組トップスター朝海ひかるさんは宝塚を代表するダンサーとして有名でしたし、素人の僕が見ていても思わず見とれてしまうような美しいダンスを踊ってらっしゃいました。

また、朝海さんの相手役の舞風りらさんも名ダンサーでしたし、朝海さんが退団される頃に2番手で後に雪組トップになった水夏希さんもダンスの名手でした。

なので、僕から見たらむしろ「ダンスの花組」でも「和物の雪組」でもなく、「ダンスの雪組」という印象だったのです。


たぶん、伝統的に「花組はダンス」「雪組は和物」といった強みや大切にしている領域がある、という程度で、何が魅力かはその時のトップや他のスターの構成によって変わるということなのだと思います。

そもそも宝塚の中では、いわゆる人事異動のような「組替え」というものがあり、一度配属されたらずっと同じ組にいるという訳ではありません。

花組で育ってダンスが得意になった人が雪組に組替え、ということももちろんあります。

実際、朝海ひかるさんは下級生時代は花組で過ごし、宙組を経て最終的に雪組でトップになっています。


また、ダンスが得意な方は子どもの頃からバレエを習っていたという方も多いのですが、そのような人を全員「ダンスの花組」に配属していたら、当然ながら組の間でバランスが悪くなってしまいます。

同じように、例えば日本舞踊を習っていた人ばかりを「和物の雪組」に配属して雪組ばかり和物を上演していては、雪組以外で伝統的な日本物の作品を受け継げる人がいなくなってしまいます。

そんなことからも、「宝塚は一つ。どの組も、歌、ダンス、芝居、ショーと、宝塚の伝統を受け継いでいる」と考えて良いのではないでしょうか。


なので、「組によって違いってあるの?」と聞かれたら、僕は「特にないと思う」と答えるようにしています。

少なくとも素人目には、「いや~、雪組の和物はやっぱり違うな~」というほど明らかな実力の差が組によってあることはないと思います。


ちなみに「ダンスの花組」「和物の雪組」以外に僕が聞いたことがあるのは、「芝居の月組」「コーラスの宙組」といったものでしょうか。

あとは「体育会系の星組」というのもよく聞きます(笑)。

たしかに現在の星組トップスターの柚希礼音さんは体育会系というか、運動神経抜群のイメージがありますね。

90周年の運動会のときも大活躍でしたし、今年の100周年の運動会でもトップとしてかなり気合いが入っていて、見事に優勝を飾っていました。

運動神経だけでなく、星組は「元気!」というイメージの方も多い気はするので、僕にとっては「ダンスの花組」よりも「体育会系の星組」のほうがしっくり来る言葉だったりします。


ということで、今後もいろいろと素朴な疑問も書き綴ってゆきたいと思いますので、どうぞお付き合いください。 

過去の公演を振り返る「どうして今さらその作品」シリーズ。

第一回目は正塚晴彦 作・演出のミュージカル「マリポーサの花」です。

水夏希さんと白羽ゆりさんがコンビを組んでいた時代の雪組で上演されました。

その他の出演者は、彩吹真央さん、音月桂さん、凰稀かなめさん、緒月遠麻さんなどです。


なぜ第一回にこの作品を選んだかと言うと、僕の一番好きな演出家が正塚先生なのです。

正塚先生についてはまた別の機会に語らせていただくとして、正塚作品の中でも大好きな作品の一つがこの「マリポーサの花」でございます。


たぶん中米あたりのとある小国で、軍事政権による圧政に搾取される人々。

そんな国で、「ネロ」と呼ばれる元軍人のクラブオーナー(水夏希)が、ときに法律に触れる手段も使いながら生きておりました。

ネロのビジネスパートナーの娘で、ネロのクラブでダンサーとして働くことになったセリアとの恋。

軍人時代からの仲間で、おそらくネロが唯一心から信頼し合える存在のエスコバル(彩吹真央)との友情。

そして軍事政権との戦いなど、宝塚ではなかなか珍しい、政治絡みのストーリーが繰り広げられます。

ちなみにうちの母親は難しい話が苦手なので、特に「政治」、「歌が多い」、「照明が暗い」といったものは「良く分からなかった」という感想で終わることが多いです。

歌が多いと「なんかうるさい」というミュージカルに対して身も蓋もない感想を口走ることもある破天荒な人です。

そう言う意味ではこの「マリポーサの花」は、政治絡みな上に照明が暗いです。

歌に関しても、正塚先生の作品は、一回聴いただけではピンとこない難しい歌も多く、「わ~、宝塚華やかね~」という楽しみ方が中心のうちの母のような人には、「なんか良く分からなかった」という感想で終わることも多いかと思います。

主題歌を何度も何度も繰り返して、帰る頃にはみんなが「愛~それは~」って口ずさんでいるような作品ではないのです。

それは歌だけでなく、話の内容もまたしかり。


かく言う僕も、物事に対しての集中力が著しく欠けているので、一回観ただけで正塚作品の内容を理解することはできないタイプです。

けど何回も観ているうちにどんどんその良さが分かってくるという点で、正塚先生の右に出る者はいないんじゃないかと思います。

まあ、生ものであるミュージカルが一回だけでは理解しきれないというのが果たして良いのかどうかという問題もあるかとは思いますが。


それはともかく、初めて「マリポーサの花」を劇場で観たときは、まさしく「よく分からなかった」という感じでした。

何となく、戦争して命を落とす人がいたり恋人と離ればなれになってしまったりする悲しいお話、くらいの感想しか持っていませんでした。

しかしながら後から何度もDVDを観ていると、どんどんハマっていくんですね。

特にネロとエスコバルの別れのシーンなんて、何度観てもグッときます。

戦いの中で怪我をして動けなくなったエスコバルが「部下の死くらい覚悟してるだろ!」みたいなことを言ったのに対し、「お前は部下なんかじゃない!俺のたった一人の友達だ!」と涙ながらに言い返すのです。

たまらずエスコバルも、「……俺も同じだよ。あんたは、たった一人の友達だ!だから生きろ!」と叫びます。

クールに振る舞い、いかついマシンガンをぶっ放していた二人が、「友達」というまるで子どものような言葉でお互いを呼ぶのがまた何とも言えない感情にさせられます。

男の友情、という表現は宝塚でよく使われますが、この二人の友情は僕も最も好きなシーンの一つです。 


ちなみに「マリポーサ」というのはキューバの国花にもなっている白い花の名前で、ネロがセリアに贈り続ける花として登場します。

また、「Mariposa」はスペイン語で「蝶」という意味で、関係ないですがパソコンに感染してデータの抜き出しを行うウィルスの名称として使われたりもしています。 


話が脱線してきましたが、ヒロインの白羽ゆりさんと、当時3番手で後に雪組トップスターとなる音月桂さんは同期生なのですが、トークショーなどの様子を見るとすごく仲が良いんだなーという印象を持っていました。

同期だけど音月さんの方が年下なことと、大人っぽい白羽さんに対して男役には可愛すぎるくらいの音月さんの少年のようなあどけなさのせいか、まるで二人は姉弟のようだなーと思っていつも見ていました。

そしたらこの「マリポーサの花」では音月さんは白羽さん演じるセリアの弟リナレス役で登場し、本当に姉弟役で共演してます。

そんなところも見所の一つです。


相変わらずいまいちまともな紹介になっていない気もしますが、「マリポーサの花」、ぜひがっつりした重厚な作品を楽しみたいときは、選択肢に加えていただけたらと思います。 

一回だけ観て「よく分からない……」と思っても諦めずに、少し経ってからぜひまた何回も観てみて下さい。

今回は元宙組トップスター、和央ようかさんを取り上げたいと思います。

既に何年か前に退団されているスターさんも、ぜひ過去の作品やスターさんも含めて語ってみたいということで語ってゆきたいなと考えております。


和央ようかさんは1988年「キス・ミー・ケイト」で初舞台を踏み、雪組に配属されます。

今でこそ170cm超えの男役は珍しくなくなりましたが、当時としては突出した長身で若い頃から注目の男役となります。

と知ったかぶって言っておりますが、僕が宝塚を観始めたのは和央さんがトップスターになって数年経ってからなので、入団当時のことはもちろんリアルタイムでは存じておりません。。

和央さんが若手で活躍された時代の雪組と言えば、あの一路真輝さんがトップスターだった時代でしょうか。

ちなみに一路さんの退団公演は、先日観劇レビューを書いた「エリザベート」の初演でした。

そのときの娘役トップの花總まりさんと和央さんが、後に宙組でコンビを組み「ゴールデンコンビ」と呼ばれることになろうとは、このときは誰が予想したでしょう。


現在劇団の理事も務められている轟悠さんが雪組トップに就任して間もなく、1998年に発足した宙組の初期メンバーとして和央さん・花總さんともに組替えとなります。

新設された宙組の初代トップスターは月組から異動となった姿月あさとさん、あの天海祐希さんの同期です。

和央さんはその姿月さんのもと、2番手として宙組の創世記を担うことになります。

ちなみに姿月さん、和央さんに加え、星組から異動となった3番手の湖月わたるさんは揃って170cm超えの長身の持ち主で、3人の並びはまさに宙に突き抜けて行くような圧巻でした(映像で見た感想ですが、生で見たらさらに凄かったことと思います)。


そして姿月さんの退団後、跡を継いで和央さんは宙組の2代目トップスターに就任し、花總まりさんとコンビを組むようになります。

ところでうちの母と姉は、和央さんの大劇場公演2作目、宙組公演「ベルサイユのばら2001~フェルゼンとマリー・アントワネット編~」で初めて宝塚を観劇し、二人とも一気に宝塚の魅力に取り憑かれてしまいました。

全然関係ないですが、その夜僕は一人淋しく近所のお祭りで焼きそばを食べていたのを何故か覚えています(いや、友達がいっしょだったかな)。。


さらにそこから2年後、「傭兵ピエール」を初めて観劇した僕、ピエールも和央さんのかっこよさに圧倒されて宝塚の世界に引きずり込まれた訳です。

宝塚あるあるなんじゃないかと思ってるんですが、皆さん最初に見た組のトップやその他のスターが推しメンになることが多いのではないでしょうか?

うちの母親も姉も、ずっとダントツで和央さんや当時の宙組2番手、水夏希さんのファンでしたし、僕は他にもいろいろと好きなスターさんはいたものの、やっぱり和央さんが原点だなーという気持ちが今でもあります。

なので、「宝塚見て見たいな~、連れて行ってよ~」とか言う友人がいたときは、最初に観てもらう作品を選ぶのにすごく気を遣うのです。

「宝塚はどの作品もどのトップも超一流でハズレなし!」と言えれば良いのですが、正直そんなこともないのが現実です。

だからこそ、最初に観た作品や出演者で「なんか思ったよりイマイチだったな~」と思われてしまうと、自分の責任で一人の人間が宝塚の世界の第一歩をつまずかせてしまうようで緊張するのです。

ちょっと自意識過剰かも知れませんが。


さてさて話がそれましたが、その後も和央さんは「オペラ座の怪人」をもとにした「ファントム」など数々の作品で90周年前後の宝塚を牽引されました。

ちなみにこの「ファントム」は劇団四季などで繰り返し上演されている、映画にもなった有名なミュージカルの「オペラ座の怪人」とは別物です。

知名度では圧倒的に「オペラ座の怪人」の方が有名だと思いますが、僕は「ファントム」の方が断然好きです。

「ファントム」では主人公エリックがより一人の人間として描かれているような気がするのです。


さてさて、そんなこんなで2006年、「NEVER SAY GOODBYE」で花總さんとともに退団、トップ在任期間は戦後最長を記録したそうです。

ちなみにこの「NEVER SAY GOODBYE」は、「ジキルとハイド」などで知られる作曲家フランク・ワイルドホーン氏が楽曲を提供したことで話題になりました。

このときの制作発表やお稽古風景で、「タカコ、タカコ(和央さんの本名)」と和央さんを絶賛するワイルドホーンさんを見ながら、家族一同「この人、ずいぶん和央さん気に入ったみたいだね~」と話していたら、何とその数年後に結婚してしまいました。

めざましテレビを寝ぼけながら見ていたときにこの一報を聞いて仰天しました。

「元宝塚トップスター和央ようかさんが結婚」というところで「えっ!?まじっ!?」となったのに、「お相手はアメリカ人作曲家のフランク・ワイルドホーンです」と聞いて「えっ!?えっ!?あのワイルドホーン!?何で!?」とパニックになっていたらすぐに母親と姉からメールが届いて一家が大混乱に陥りました。

「おめでとう」と思う反面、「大丈夫かな……」という気持ちもありましたが……何せワイルドホーンさん、離婚歴もありますし。。

ちなみにワイルドホーンさんと言えば、後に宝塚でも上演された「スカーレット・ピンパーネル」の作曲もこの方です。

冒頭で歌われる「ひとかけらの勇気」は、日本初演にあたり主演の安蘭けいさんのためにワイルドホーンさんが作曲された新曲です。

ワイルドホーンさんと和央さんが結婚したことによって、宝塚ではワイルドホーンさんの作品はやりにくくなってしまったのかなぁ……。

ある意味、生徒に手を出したみたいになっちゃってますからねぇ、でも退団後だから問題ないのかな。


これだけ「ベルばら」とか「ファントム」とか「NEVER SAY GOODBYE」とかの話をしていますが、和央さんと言えば、僕が一番好きな作品は「カステル・ミラージュ~消えない蜃気楼~」だったりします。

砂漠の中に城を作るという夢を抱き、ラスベガスのカジノを生み出した男レオナードとその幼なじみエヴァ・マリーの物語です。

レオナードは架空の人物ですが、モデルとなった人物がいると聞いたことがあります。

まだファンになる前だったので生で観ることはできませんでしたが、命をかけて恋人を守ろうとした男を演じた和央さんはそれはそれはカッコ良かったです。 


ちなみに母も姉も僕も和央さんが大好きだったので、退団後のコンサートにも行ったこともあります。

後日ちょうど自分たちが行った日の回がDVDされたのでせっかくだからと購入したところ、和央さんが客席に登場して歌うシーンで自分ががっつり映っていました。


ということで、過去の作品を観てみようと思われている方は、ぜひ和央さんの作品も候補に挙げていただければと思います。

結局今回も長くなってしまいましたが、次こそ短めに語りたいと思います。 

スター紹介のコーナー、記念すべき第一回のゲストは、星組トップスター柚希礼音さんです。

いきなり始まりましたが、自分が好きなスターさんや注目の方、はたまた既に退団してしまった方も含めて、勝手気ままに取り上げて思うことを綴ってみたいと思います。


今年100周年を迎えた宝塚歌劇団ですが、その100周年の顔として劇団を引っ張っているのが間違い無くこの方だと思います。

1999年「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台後、星組に配属され、そのまま星組一筋の柚希さん。

僕が最初に柚希さんを認識したのは、初めて観劇した星組公演「王家に捧ぐ歌」でした。

その頃はまだ当時トップだった湖月わたるさんの名前をやっと知ったばかりの頃だったので、当然ながら脇を固める人たちの名前と顔なんて一致するはずもなく。

「わ~、湖月さんってすげー男くさくて雄々しくてカッコイイな~」とバカみたいな顔で観劇しておりました。

そんなバカの目から見ても一際光る存在が、湖月さん演じるラダメス将軍の傍らに一人。

それこそ柚希礼音さんでした。


当時はまだ研5(研究科5年=入団5年目)だった柚希さんでしたが、後で調べたらこの「王家に捧ぐ歌」の新人公演の主役を演じているのがこの柚希さんだと。

なるほどー、どおりで目を引くわけだー、とこれまたバカみたいに自分の眼力を自画自賛したのを覚えております。

そのときはあまり深く考えてませんでしたが、 新人公演というものは研7までの生徒さんだけで宝塚大劇場・東京宝塚劇場それぞれ一回のみ上演されるものであり、研5の柚希さんが主役を演じるということは、すなわち上級生の研7および研6の方々を追い抜いての抜擢ということ。

その映像を、実家で加入したばかりだったスカイステージ(宝塚専門のCSチャンネル)でちょっとだけ見たのですが、5年目とは思えないくらいに堂々とした演技だったのを強烈に覚えています。

「あー、この人トップになるんだろうなー」と素人目に見ても分かるくらいに。


よく考えてみたら、男役5年目ということは、男歴5年、極端に言えば5才児の男の子みたいなものなのですよ。

だから普通だったら、研5の男役さんの新人公演なんて、とても安心して見れたもんじゃない不安定なものであってもおかしくないのです(実際そういう方も多いです)。

演技はたどたどしく、歌はボロボロ、ダンスもフラフラ、そんな醜態をさらしながらも、それを糧に経験を積んで10年経つ頃になってようやく一人前の男役になれる、それが普通なのです。

でも柚希さんは違いました。

もちろん新人公演にしては、という前提もありますが、演技もしっかりしていたし、歌もある程度男役の歌声になっていて、「聞いてられない!」というようなものでは決してありませんでした(ダンスはあまり無い作品でした)。


その後も柚希さんは、湖月さんがトップ在団中はほぼ全ての新人公演で湖月さんの役を演じていました。

そして湖月さん退団後、新トップとなった安蘭けいさん率いる新生星組で、一気に2番手のポジションを手にするのです。

一度トップになると、トップスターは複数年にわたってトップを務めることが多いので、トップの方と次にトップになる方の学年差が1学年だけ、ということはあまりなく、むしろ2~3年開いていることの方が多いかと思います。

ちなみに湖月さんと安蘭さんも2学年差でした。

そうは言っても、安蘭さんと柚希さんは何と8学年差!

トップと2番手がここまで学年が離れているのは珍しいのではないでしょうか。

本当は、柚希さんの上にも立樹遥さん、涼紫央さんという上級生の方が二人、いわゆる「路線」と呼ばれる位置にいたのですが、安蘭さんがトップになると同時に、柚希さんが一気に2番手の位置を担うことになりました。

立樹さんと涼さんがトップになるにはちょっと……という面もあったのかも知れませんが、それ以上に柚希さんの成長とスター性が凄まじかったのではないかと思います。


かくして安蘭さんも退団された後、柚希さんは若くして星組トップスターに就任します。

トップスター就任後も、「ロミオとジュリエット」、「オーシャンズ11」、「ナポレオン」等々、たくさんの大作の初演を務めてこられました。 

ご本人は「エリザベートのトート役を演じてみたい」と言っていたそうですが、残念ながら他の大作の主演に恵まれすぎたせいで、既存の人気作の再演まで務めるチャンスは回ってこなかったようですね。

そんな柚希さんですが、ついに来年上演予定の「黒豹の如く/Dear DIAMOND」で退団されることが発表されています。

この「黒豹の如く」は、宝塚を代表する演出家・柴田侑宏さんの10年ぶりの新作として話題になっています。

柴田先生は年配で目が悪いため、近年は口述筆記で脚本を書かれていたとか……。

おそらく柚希さんが自分の退団公演としてぜひ柴田先生に、という希望もあったのではないかと想像しています。

個人的には「レオン」さんだから、「黒獅子の如く」とかの方が良かったんじゃないかとか浅はかなことを思ったりもしましたが、でもそれは「ナポレオン」で十分かなと。。

柴田先生の作品は、とても宝塚らしいロマン溢れる作品でありながら、それでいて決して古臭さを感じさせない魅力的な作品が多いので、僕も個人的にすごく楽しみです。

でもチケット取れますかねぇ。。

先月の話ですが、東京宝塚劇場にて、
花組公演「エリザベート~愛と死の輪舞曲~」
を観劇してまいりました。



新トップスター明日海りおさんの大劇場お披露目、
さらに娘役トップ蘭乃はなさんの退団公演です。

役替りのルドルフ役は芹香斗亜さんの回でした。

というのも、最近の若手で一番の推しメンが芹香さんなのです。

「推しメン」というアイドルみたいな呼び方をしてしまいますが、
最近我が家ではこういう呼び方をしているものでして……。

なぜかと言うと、宝塚用語ばかり使うよりも、
こういう世間で知られている言葉を使った方が、
宝塚をあまり知らない方に話すときに通じやすかったりするもので。

それから生徒さんの愛称も皆さんが呼んでいるものではなく、
勝手に付けた愛称で呼んでいたりします。

これは何と言うか、正式な愛称を知らないまま、
勝手に呼び始めて定着してしまうことが多いからです。

ちなみに芹香さんは我が家では「とあちゃん」と呼ばれています。


そんなこんなで観てきた「エリザベート」ですが、
この作品を生で観劇するのは4回目になります。

最初は彩輝直さん主演の月組、次は水夏希さんの雪組、
そして瀬奈じゅんさんの月組、さらに今回の明日海さんの花組となります。

前3回は結構立て続けに再演された記憶がありましたが、
今回は割りと久しぶりでしたね。

おそらく、「ファントム」や「スカーレット・ピンパーネル」、
さらには「ロミオとジュリエット」など、
「エリザベート」以外の海外ミュージカルのヒット作のバリエーションが増えたからなのかな、
とか思っております。


エリザベートと言えば、
主要キャストを誰が演じるのかというのが毎回の楽しみの一つです。

何せストーリーは知ってる訳ですし、
演出も大きく変わることもないので、もはやそっちがメインなくらいです。


まずは黄泉の皇帝トート役の明日海りおさん。

お披露目公演ながら、
持ち前の歌唱力と綺麗な顔立ちがトートの怪しい雰囲気にピッタリでした。

たぶん絶対性格の良い人だと思っているので、
冷酷なトートにしては「本当は優しいくせに~」
と思ってしまわずにいられませんでしたが、
そんな余計なことを考えずに観ている方には、
何の違和感もなく「死」を感じられたのではないでしょうか。

というか僕が生で観た歴代トートの中では、
歌唱力に関しては一番だったんじゃないかなと思います。


次にヒロイン、エリザベート役の蘭乃はなさん。

観る前から思っていた通り、
「エリザベートにしては歌唱力が……」
という印象は拭えませんでしたが、
退団間際になって割りと好きになってきました。

この方、娘役トップになってから、
「ファントム」のクリスティーヌ、「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネット、
そして今回のエリザベートと、宝塚の中でも超人気作のヒロインをいくつも演じてきました。

でも僕が一番好きだったのは「復活」のカチューシャ役だったりします。

こんな言い方をしたら失礼だと思うのですが、
蘭乃さん、みすぼらしい女の子の役がすごく可愛いのです。

だからカチューシャ役以外にも 、
「アンドレア・シェニエ」のマッダレーナが、
革命で落ちぶれてしまってからとかがすごく好きだったんですよね……なんかすみません。

なのでこの方がお金持ちのお嬢様とか、
キャリアウーマンとしてツンと立っていても、
「ふーん」としか思わないんですが、
普通のアパートでゴミ出しをしていたり、
商店街の八百屋さんでバイトとかしてたら、
たぶんすぐ好きになってしまう自信があります。

いや、褒めてるんですよ。


続きまして、オーストリア皇帝にしてエリザベートの夫、
フランツ役の北翔海莉さん。

すでに各組のトップが下級生になっているので、
トップスターになる路線からは外れてしまった感じですが、
特に歌声はさすがの安定感でした。

人柄は申し分ないのに様々なしがらみに捕らわれて、
エリザベートへの愛情をうまく伝えられない、
フランツのイメージにハマっていた気がします。

ただ、その安定しすぎているのが逆に難点なんでしょうか……。

それも含めてフランツに合っていた気もします。


次にエリザベートを暗殺した革命家、
ルキーニ役の望海風斗さん。

何気に今回一番「お~!」と思ったのはこの方でした。

明日海りおさんと同期ながら、
トップになったのは数公演前に組替えしてきた明日海さん。

こういうこと、宝塚では良くありますよね。

それと同時に、
「あー、この人はトップになれないのかなぁ」という、
いわゆるフラグみたいのを(絶対ではないですが)感じることも少なくありません。

今まであまり注目していなかったこともあり、
どこかパンチの足りない印象を持っていたんですが、
ルキーニ役で見事に弾けていました。

ちなみにこれまでルキーニを演じてきた方々は、
皆さん後にトップになられているのです。


2番手のフランツを演じた方でさえ、
トップになれずに退団していった方がたくさんいるにも関わらず。

これは私感ですが、
男役としてもう一歩進化しようという、
3番手くらいの時代にこのルキーニ役を演じると、
黒い役をこなす演技力や、
狂言回しとして客席を盛り上げるスター性などが開花するのではないでしょうか。

望海さんにもまさにそんな弾けっぷりを感じました。

この後、雪組に組替えとなりますが、
ぜひもっともっと活躍する姿を見てみたいなと思いました。


そして今回一番楽しみにしていた、
皇太子ルドルフ役の芹香斗亜さん(とあちゃん)。

綺麗ですね~、スタイルいいですね~。

僕より5cmくらい身長高いみたいです。。

儚げな雰囲気がルドルフにぴったりで、
今まで生で観たルドルフの中でダントツで好きでした。

何か一番楽しみにしていたとか言いながら、
アホみたいに普通な感想ですみません……。

最近の若手の方に多いように、
男役として哀愁より綺麗さや可愛さの方が前に出てしまっている印象もあるので、
これからもっともっと男くさい役をたくさん演じて、
数年後にはトップスターになった姿を見せて欲しいな……、
と勝手に楽しみにさせていただいております。


あと良くも悪くも印象に残ったのが、
フィナーレの「闇が広がる」の群舞の衣装。

黄色というか金色の鮮やかな衣装だったんですが、
このシーンはもっとダークな色の方が良いなーと思ってしまいました。

だって「闇が広がる」なのに、
キラッキラに眩しく輝いちゃってるんですもん。

何組のときだったか記憶が定かではないのですが、
エンジ色というか暗い赤の衣装のときが一番好きでした。 

大階段にずらっと並んだ男役たちの間を、
主要キャストの3名がゆっくりと降りてくる振り付けは、
相変わらずカッコイイんですが。


ということで、初めての観劇レポートで長くなりすぎてしまいました。

次回からは飽きられないようにもっと手短かに書ければな……とか思っております。 続きを読む

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